夢か現か白昼夢 今まで暗かった部屋に明かりが灯り、人の気配がすることに安堵を覚えるようになったのは、つい最近のことだ。ずっと大切に温めていた想いが成就され、家に帰ることが楽しみになった。埃っぽかった部屋がいつも清潔に保たれ、湿っぽかった布団はお日様の匂いがした。ほかほかの食事やお風呂が用意され、脱ぎっぱなしの服は、きちんと畳まれ洗剤の香りがする。ただいまと言えば、おかえりなさいと笑いかけられることで、どれだけ救われているか。今日も、ドアの向こう側からは、ちょっと調子はずれの鼻歌交じりで楽しそうな音が聞こえ自然と頬が緩む。 「ただ~いま」 「おかえりなさい、カカシさん」 涼しくなったとはいえ、まだ日中は汗が滲むからか、短パンにタンクトップというなんともエr…いや、ラフな格好にエプロンを身に着けている。普段見えている顔や腕はこんがり焼けているのに、エプロンから覗く太腿や二の腕は存外白く、妙に艶かしく見える。白い部分は自分しか見られないということにひどく興奮し、あちこちに自分の所有印を付けたくなった。 振り返った笑顔が可愛くて、そっと後ろから抱きしめると今度は困ったように笑った。 「もうすぐ夕飯ですからね」 ほんのり染めた頬は、恥ずかしいからか熱さのせいか。潤んだ瞳で言われても俺を興奮させるだけなのに、わかってやっているのだとしたらとんだ小悪魔だ。柔らかそうな二の腕に、そっと吸い付くと大袈裟にびくりと震わせた。 「あの、どうしましたか?お腹減りました?」 「ううん、違うよ。ちょっとだけ跡ついちゃった。でも、俺のってみたいで嬉しい」 「カカシさんの印?」 「そっ。イルカが俺のだって」 「じゃ、じゃあ、俺もつけたいです!」 なんて可愛いんだ。今まで、そういうことには縁がなく未だにキスをするだけで真っ赤になるのに負けず嫌いなのか、こういう時だけ積極的になる。 「いいよ。じゃあつけて?俺が、イルカのだって印つけて」 首を反らすと、イルカが遠慮がちに鎖骨に唇を付ける。それじゃあ、印なんてつかないのに必死でちゅっちゅしているのを見て笑みが溢れる。 「それじゃ、つかないよ?」 え?と見上げる瞳には、うりゅうりゅと涙が溜まる。 「手かして?教えてあげる」 手の甲にちゅっと吸い付くと、その部分だけ赤く色づく。 「ね?吸ってみて?」 コクリと頷くと再び鎖骨に唇を付け、じゅっと吸われた。 「つきました…俺のですね」 ついた印を撫でながら、満足そうに笑うイルカが可愛くて抱きしめた。 「ね、今からいい?」 「え?あの…」 「イルカ食べてもいい?」 耳元で囁くと、真っ赤になって頷いた。 「あっあぁっっん、やっ」 じゅぶじゅぶと音立てながら、少し小ぶりな肉棒を口いっぱいに頬張る。短パンと下着をずり下げただけで、他は身につけたままなのがさらに厭らしい。無意識なのか、太腿で頭を挟み、シーツを掴みながら必死で喘ぐ姿に煽られる。 「ひっぁあああっっ、カカっん、もっっ」 内頬に擦り付け、筋を舐めあげると呆気無く果てた。出されたものを飲み干すと、ぴくぴくと震える。 「んっ。気持ちよかった?」 ハーハーと荒い息を吐きながら、ぼんやりと天井を見つめる瞼にキスをした。 「疲れたね。もう終わりにしようか」 「っでも、カカシさんは?」 「俺のはいーよ。イルカが気持ちよかったなら。ご飯食べよ?ちょっと休んでて」 ベッドから立ち上がろうとすると、つんっと裾が引っ張られる。 「どうしたの?起き上がれない?」 首を横に振り、裾を掴む力が更に強くなる。 「っも…」 「ん?」 「俺も、カカシさん気持ちよく…」 タンクトップの脇からはちらちらとかわいい飾りが見え隠れして、力を無くし項垂れた肉棒からは先程吸い残した蜜が垂れていた。耳まで真っ赤になり潤んだ瞳で見上げるイルカの手は小刻みに震えていて、なんだか可哀想な気もしたが反対に嗜虐心も煽られた。そっと頭を撫でながら、喉の奥で笑いがこみ上げる。 「じゃあ、同じことしてくれる?」 「おなじ…こと?」 「そっ、その可愛い口で舐めてくれる?」 「はい」 おずおずとズボンのジッパーに手をかけ下ろそうとするが焦れったい。もたつく指に重ね、一緒に下ろすとホッとしたように息をついた。既に緩く立ち上がり、先走りで濡れているものを取り出すと息を飲む音が聞こえる。 「無理そうならいいよ?」 初めての行為で緊張しているのか、一向に動き出さないのに苦笑いすると意を決したよう顔を近づけた。ぎゅっと目を瞑り、そろそろと舌を出すとべちょっと付けた。先をちろちろと舐める姿は、子猫がミルクを舐めるのを彷彿させた。 「きもちいよ。もう少し咥えられる?」 耳朶を揉みながら、励ますように告げれば顔を上げ目尻を下げた。咥えながら見上げるのはイカンだろ。 「んんんっおっきく」 「そのまま咥えて」 後頭部押さえ、ゆるゆると動き出すとくぐもった声が聞こえる。 「んぅっんっっ」 いつの間にかイルカの手が腰に巻き付き、離れないように必死に咥えこんでいる。 「あぁ、キモチイ。イルカ、そのまま筋舐めて」 熱に浮かされながらも、俺の声を聞くとこくこくと頷き拙いながらも舌を這わせる。飲みきれない物が口端から垂れているのに、気にもせず自分を気持ちよくさせようとするイルカが愛しくて汚したくなる。 「ぐっんぅっっ、ふっ」 「んっ、出るよ。飲める?」 喉奥まで突き入れ、激しく揺さぶり吐精した。 「んう、んぐっ。ゲホッゲホッ」 「ごめん、イルカ!気持ちよすぎて。大丈夫?」 咳き込むイルカの背中を擦る。 「んっ。飲めました」 俺も飲めましたよっと嬉しそうに笑うイルカに、出したばかりだというのに俺の肉棒は簡単に起ち上がった。 「イルカ、次はこっちで」 尻を揉むとイルカは腰を擦りつけてきた。可愛いイルカ…今度はみっちりハメて、もうお腹いっぱいですなんて言わせて… 「さん?…シさん?」 「へ?」 「どうしたんですか?」 あれ?俺、何していたんだろう。 「疲れてますか?夕飯もう少しで出来ますからね?」 白昼夢を見ていたのか、俺は帰ってきてから玄関で立ち竦んだままだったようだ。あれ?印は? 心配そうに覗きこむイルカが、シーツの上で乱れている姿と重なって見え腰が重くなる。 「大丈夫ですか?」 優しくて可愛い奥さんは、俺の額に手を当て熱がないかと確かめてくれた。エプロンから覗く柔らかそうな二の腕に自然と笑みが溢れる。 「カカシさん?」 イルカの肩に額をつけ、二の腕に指を這わせる。 さあ、白昼夢の続きを。